遠くから見れば、大抵のものは綺麗に見える。
こんにちは。アイです。
フリーランスの通訳案内士、ライターとして東京を拠点に活動しています。
その中で、たくさんの訪日外国人、在日外国人と出会ってきました。
初めて会って、言葉を交わして。
5分足らずで彼らは言うんです、
“What’s your dream?”
他意なんて微塵もない、純粋な好奇心。
屈託ない笑顔で、聞いてくるんです。
ああ、そうか、
彼らは皆一様に夢を抱き
日本での新しい暮らしに希望を託して、
故郷を離れ
はるばる日本にやって来たんだ。
もうね、参っちゃいますよ。
私は一体、ここで何をやっているんだろうって。
自分の無力さが、悔しくて堪らなくなりました。
国がなんだ、国籍がなんだ
日本に住んでいる外国人の就職率をしっていますか。
およそ希望の3割しか、就職できていないと言われています。
就労ビザが取得できず、
帰国を余儀なくされた友人を
何人も見てきました。
英語が母国語のネイティブスピーカーや、
エンジニアなどの専門スキルを持った人であれば
まだ就職口はありますが
今日では英会話講師も飽和状態。
例え英語を流暢に話せたって
「英語圏」出身でなかったり
クリエイティブ系の職種だったりすると
やっぱり就職そのものが、難しかったりするんですよね。
現状として。
数ある国の中から
「日本」という国を選び
わざわざ足を運び
もっともっと好きになり
暮らそうとしている。
仕事を見つけて
ここで新たな人生を始めようとしている。
それなのに
ビザがおりない。
ここ「日本」に存在することすら
許されない。
私は、悔しくてたまらないんです。
同じ人間なのに、なんで、って。
国がなんだ、国籍がなんだ、って。
わかってます、
わかってますよ、
そう簡単に就労ビザがおりないことぐらい。
そのような
外国人労働力に対する施策は
自国の「文化」やら「雇用」を守るために
どの先進国もとっている施策だってことぐらい。
でも、なんでだろうって。
ちゃんと、日本文化を尊敬してくれてる人もいるじゃないですか。
それなのに、
なんで「外国人」って
一括りにしちゃうのかなあって。
思っちゃうんです。
今の日本に必要なのは、真に日本を愛するアーティストの力。
ハッと息を飲むほど、シンプルで美しい、
東京にある建築物の写真を撮るフォトグラファー。
懐古心をくすぐるような、ほっこりとした温かみのあるタッチで、
日本の何気無い風景の一コマを描くイラストレーター。
素敵じゃないですか。
アーティストって。
私たち日本人が今まで気づかなかったような
新たな視座を与えてくれる
とっても貴重な存在だと私は思うんです。
たとえ
就労ビザ発給要件の
「高度人材」に該当しなかったとしても。
彼らのような存在こそが
様々に鬱屈した課題を内包する日本を
これから廃れゆく日本を支えていく
一翼となるのではないでしょうか。
少なくとも、私はそう信じています。
そもそも、同じ人間であること、忘れてない?
日本人より高い能力を有しているにも関わらず
高すぎる日本語能力を採用条件として
外国人を「お断り」するたくさんの企業。
または
採用したとしても
アフターフォローを蔑ろにし
劣悪な労働環境において忍耐を強要するケースも、
残念ながら非常に多いです。
また、ただ外を歩いていただけで警官から職質を受けた、という
耳を疑うような悲しいニュースもよく聞きます。
彼らはいつまで、
搾取されなければならないのでしょうか。
彼らはいつまで、
「犯罪を起こしうる人々」というレッテルを
貼られなければならないのでしょうか。
わたしは外国人、という言葉自体好きではありません。
なぁんか、やなかんじ。
ついでに言うと、
英語バージョンの
“Foreigner”とか
“Non-Japanese”
もいやです。
開国してもう200年も経つのに、
あの頃と根本的なところはなんら変わっていない。
島国という地理的条件が大きく作用しているにしても、
さみしく思います。
今はオリンピックに向け
国全体が盛り上がっていますが、
その後はまちがいなく、デフレが起こります。
これは、予想ではなく史実です。
他のオリンピック開催国も歩んできた道です。
そこに、
今よりもっと進んだ少子高齢化の波が
経済になだれ込むと、、
日本は、もう日本人だけではやっていけません。
AI、そして外国人が
パートナーとなる時代がついにやってきます。
もう、そこなんです。
もう、彼らは “外国人” ではありません。
訪日外国人から在日外国人に、
そして日本経済の一翼を担う立場となった彼らが
自分らしさを忘れずに
暮らしやすく
はたらきやすい仕組みを整えてあげることは、
私たちがお互い気持ち良く生きていくうえで
すごく大切なことであると思います。
そして、私たち自身が
日本固有の美しい文化を守り抜くことも、
やっぱりすごく大切なことです。
壊れないように、
盗られないように、ね。
1人でも多くの外国人の痛みと希望が、1人でも多くの日本人に届きますように。
このサイトに掲載する外国人アーティストの方は、
そんな彼らのほんの一部です。
彼らがどんな思いで来日し、
何が楽しくて
何が嫌いで、
毎日どんなことを考え
どんなことで悩み、傷つき、
どんな眼差しでこれからの自分の人生を、日本を、見つめているのか。
彼らの声に、耳を傾けてあげてください。
ちょっぴりで、いいんです。
それだけで、彼らはもう少し、息がしやすくなると思うんです。
数ある国の中で、
私たちが生まれ育った日本という国に、
興味を抱いてくれた。
わざわざ自ら足を運んで、
やって来てくれた。
こんな嬉しいことって、ありますか。
そんな彼らが、
身に覚えのない差別や偏見を受け
表には出さないかもしれないけれど、
とっても苦しんでいるんです。
こんな悔しいことって、ありますか。
だから私は執筆し、
ツアーを催行しています。
1人でも多くの外国人の痛みと希望が、
1人でも多くの日本人に届くように。
「世の中には誤解というものはない。考え方の違いがあるだけだ。」
(村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』より)
書いた人

「ひとりひとりがアーティストとして、自分らしさを体現できる空間を整える」
1994年神奈川県生まれ。青山学院大学文学部英米文学科卒業。在学中はイギリスのオックスフォード大学へ短期留学を経験。旅行好きの両親に恵まれ、幼い頃から日本全国を旅し、訪れた都道府県は33県に上る。
学生時代はホステルでのアルバイト、国際ワークキャンプを運営するNPO法人でインターンを経験。卒業後は株式会社JTBへ新卒入社を果たす。合格率15.6%という難関国家資格である全国通訳案内士を、完全独学かつ23歳という若さで合格後、フリーランスの通訳案内士として現在東京を拠点に活動中。
またスウェーデンなどの北欧諸国が体現する、サステイナブルでエシカルなライフスタイルに魅せられ、将来は東京とスウェーデンの2拠点生活を送ることが夢。趣味は旅行、植物を育てること、美術館巡り。ライター、エッセイスト、ミニマリスト。
related posts