こんにちは!
通訳案内士のaiです。
先日ご案内したアメリカ人のゲストと、チップの話で盛り上がりました。
「日本にはチップの文化が無いよね。心のこもったサービスや、何かしてもらってすごく感謝している時、僕たちはチップでその思いを伝えるけど、日本人はどうするの?」
そう聞かれた私は、しばらく悩んだ挙句、
「クチコミで広めたり、お手紙を書いたりして感謝の意を表す」
と答えました。
さすがに、どこかのレストランにおいて食事や心遣いに感銘し、その場で手紙を書き始め、感謝の意を伝えることはしませんが(笑)
例えばお世話になった方やお客様へ一筆添えたり、お礼の手紙を書くことは、経験がある方も多いのではないでしょうか。
私はこの「手書き」の文化が、とてもすきです。
話は逸れましたが、
皆さんはどう思いますか?
今回の記事では、そんな私たちにあまり馴染みのない「チップ」について。
もらってしまった時の対処法を、シーン別にご紹介します!
チップとは?

チップは”Tip” または”Service Charge”(サービス料)と呼ばれ、サービスを提供してくれたスタッフや従業員に、直接手渡しでお金を渡す文化のことを指します。
チップを渡すシチュエーションは様々ですが、主にレストランで食事をした際に給餌を担当してくれたウェイターや、ホテルに宿泊した際担当してくれたスタッフなどに渡すのが代表的。
というのも、彼らの賃金は最低賃金であり、彼らが提供するこの細かな”サービス”に対して賃金が支払われないため、
顧客がその対価に見合った代金(チップ)を直接支払う、という仕組みになっています。
日本でチップの文化があまりないのは、この”サービス料”に該当する部分の代金は、既に食事代や宿泊代にあらかじめ含まれているからなのです。
このようなチップ文化にあまり馴染みがない方も多いかもしれませんが、
アメリカやカナダではチップが必ず渡すことになっていますし、
ヨーロッパの多くの国でも、毎回では無いにしろ「サービスに感銘した時はチップを払う」文化が定着しています。
チップは誰のもの?

チップが誰のものかというのは、実は法律では明確に定められていません。
というのも、先ほどもお伝えしたように、日本にはチップの文化が無いからなのです。
結婚式や、旅館の女将さんにチップを渡すという話もたまに聞きますが、あまり表立って聞かないですよね。
ですので法律的に言えば、お客さんからチップをいただいた場合、そのままありがたく受け取ってしまって構いません。
ですが、人によってチップへの解釈が異なってきますので、黙って受け取ってしまうと、あとあとトラブルに発展してしまうケースもあります。
チップをもらったシチュエーションによっても、その判断基準は変わってきます。
・勤務先でチップをもらった場合
・訪日外国人を観光案内中にチップをもらった場合
それぞれのパターンを詳しく見ていきましょう。
勤務先でチップをもらった場合

アルバイト先や勤め先など、雇用契約を結んでいる企業で勤務中にチップをもらった場合。
このような時は、黙って受け取ることはせず、上司に一言相談してみるのがベターでしょう。
チップの解釈は人によって様々。
チップ=スタッフ全員のものとして分配したり、売上の一部として計上したり。事業所によってその対応方は異なってきますので、黙って受け取ってしまうと、あとあとトラブルになりかねません。
下手をすれば、売り上げを横領したと捉えられ、雇用問題に発展してしまう可能性も秘めているのです。
チップをいただけたということは、それだけお客様に心のこもったサービスを提供でき、ご満足いただけたということ。
直接あなたのお財布には入らなくても、実績として上司から高く評価してもらえるチャンスでもありますので、せっかくの機会を無下にせず、素直に報告するようにしましょう。
訪日外国人を観光案内中にチップをもらった場合

前述の通り、欧米の多くの国では、サービスに感銘した時、お礼の気持ちとしてチップを渡す文化が浸透しています。
ですので、ガイドとして丸一日ゲストを案内していると、ツアーが終盤を迎えるお会計の頃合いに、チップを渡そうとしてくれる場合が多々あります。
先日ご案内した30代のアメリカからのゲストもそうでしたし、
今日担当した40〜50代アメリカからのゲストも、最後の居酒屋でお金を渡そうとしてくれました。
ガイドの身としては、とっても嬉しい展開ですよね。
ガイド業はあまり稼げない仕事ですので、お小遣いを貰えるのはかなりありがたいこと。
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ですが、残念ながら、
「私たちの国にはチップの文化がない」
という旨を伝え、一度丁重に断っておいた方が良いかもしれません。
謙遜の意味ではありませんよ。(笑)
というのも、そのことを知らずにチップを渡してくれて、あとでその事実を知った時、
「なんだ、やっぱりあの時お金あげなきゃよかった」
「あのガイドは(チップをあげた時に)何も言わなかった」
と、万が一思われてしまったら癪ですよね。
もちろん、状況によっても異なってくるかと思いますので最終的な判断は委ねますが、一度その旨をゲストにしっかりお伝えし、それでもチップを渡したいとのことだったら、その時初めてありがたく享受するようにしましょう。
お金の問題は、双方にとってシビアな問題。
常に、気持ちの良いコミュニケーションを心掛けたいものです。
まとめ

いかがでしたでしょうか?
チップをもらってしまった時の対応方法を、状況別にご紹介しました。
もらった方が良いのか、
断っておくべきなのか。
なかなか判断のつきにくいところではありますが、どちらにせよ、貴重なお金をあげようとしてくれた先方の思いを無下にすることのないよう、気をつけたいものですね。
また、これから本格的にキャッシュレス化が浸透すれば、私たちがイメージするような「現金でのチップ(cash tips)」は、もう貰えなくなってしまうかもしれません。
中には「キャッシュレスチップ(noncash-tips)」なるものも登場しているようですが、あげる側にとってのハードルは、現金でのチップより高そうな感じがします。
貴重な”チップ”をいただけた時は、心からの感謝の気持ちを、相手にしっかりと伝えるようにしましょう。
この記事を書いた人

“数ある国の中から、わざわざ日本を選んでくれた外国人に、1人でも多く。 正しい知識を持ってリアルな日本を伝え、恩返しをしたい。”
合格率15.6%の難関国家資格「全国通訳案内士」を、23歳という若さで2017年12月に取得。以降、フリーランスの通訳案内士として、東京を拠点に活躍中。趣味はお散歩とカフェ巡り。
旅行好きの両親に恵まれ、幼少期から日本全国を旅し、これまで訪れた都道府県は33県以上。 学生時代はホステルにて勤務、卒業後は旅行業界最大手である株式会社JTBに新卒入社を果たす。
観光業に日々従事する中で、”観光地だけでない、ローカルだけが知っているディープな東京を伝えたい”という思いから「Tokyo Hidden Gems」というコミュニティを2018年4月に立ち上げる。メンバーは2019年10月現在、400人超え。
#feellikealocal #deeptokyo をキーワードにこれまで6回、東京の穴場を巡る街歩きツアーを開催。 参加者である在日外国人経営者や、大使館勤務の方、ハーバードより入学が困難と言われているミネルバ大学の学生から高い評価をいただいている。
Instagram @tokyohiddengems
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